心の支えがあるから

2013.01.13 *Sun*
マドンナ (講談社文庫)マドンナ (講談社文庫)
(2005/12/15)
奥田 英朗

商品詳細を見る


もともと「空中ブランコ」など奥田英朗さんの作品は好きでしたが、「ガール」を読んで久しぶりにさすがだなあ~と感嘆したもので、その姉妹作と言われているこちらも手に取ってみました。
・・・うん。さすが。
悩み、惑い、右往左往する40代のキャリアを積んで出世してきた課長さんたちの描写も魅力的だけど、もっと魅力的な脇役たち。

「マドンナ」では奥様が素晴らしい。
夫が恋をしているのに気づいても、責めずに理解し(心の中では違うんだろうけど)どんと構える。
この話では、課長さんだけじゃなくて、独身の山口くんの恋も、同じく叶わないところに面白さがあると思うなあ。
恋って素敵だなあと、結婚って素敵だなあと、絶妙のバランスで思わせてくれる。

「ダンス」での魅力的なキャラクターは課長さんの同期の浅野さんでしょう。
人目を気にしない、会社の慣習に従わない、それでいて仕事は手際よくできる、変わり者の困った同期。
こういう人って、自分は良くても人に気を使わせるしちょっと迷惑。
でも嫌いになれないし、憎めないし、ちょっと憧れる。

「総務は女房」会社って、こうなの!?と一応会社員のくせに普段技術的な仕事しかしてないのでビックリしてしまう感じだったんですが、主人公もそうなんですよね。
わたしも「慣習だから」といくら説得されても不正を見逃せる気はしませんので、最後はもやもやしましたが、現実はいろいろと大変ということで。

「ボス」若くて美人で仕事のできる同い年の女性が上司として赴任してきた、という話。
これを読んでいて、なんとなくくすぐったい感じが最初からあった。
今まで、残業が当たり前、会社の行事、休日の接待、無駄口をたたきながら仕事をしてきてそれが楽しかった主人公の課長さん。
その一切を変革し、ノー残業デーを作り、休日の接待や行事は廃止し、仕事は仕事プライベートはプライベートと割り切る浜名陽子部長がどうも自分に近いような気がして。
わたしも、仕事は仕事。それ以外の時間は自由に使わせてほしい、という人間で、職場の人と友達になろうと思わないし、仲良くしたいとも思わない。
そのほうが仕事がやりやすいと思っているし。
まあ、この浜名部長さんは結婚していて子供もいて40代で部長に就任している超バリバリキャリアウーマンでしかも、部下に全く弱みを見せない、あくまで仕事の場では凛とした女性。
全然一緒にはできないですけど、何か近いものがありそうだと。
その「何か」が最後の最後でわかります。
『空想の世界を持っているのだ。それは、日常からの小さな逃避に違いない。好きな歌手やスポーツ選手を恋人に見立て、声援を送ったり、語りかけたり。そうやって一人遊びをしているのだ。』
主人公の課長さんは、そんな部長さんを見て『いいな、と思った。こんな楽しみがあるなんて。』と思ってくれているんですが、そういう男性ってどれくらいいるのかなあ。
浜名部長さんの旦那様(外国人の方ですが)はちゃんと理解してくれてるってことなんだよなあ。
そういう人に出会いたい。(笑)
この本に、自分が出てくるとは思っていなかったので、不意を突かれて思わず涙が出ましたよ。
何もなければ弱音も吐かず割り切って凛と仕事なんてできない。
大きな心の支えって、ほんと大事だ。

「パティオ」このお話だけは、仕事の話じゃないな。家族の話。
年を取って、一人暮らしで、孤独でも、毅然としていたいというプライドを選んだ「おひょいさん」
カッコいい。
そして遠い将来(と思っていてもいつ訪れるかわからないけど)両親のどちらかが先に他界したら、わたしは一体どうするんだろう?という思いにもさせられました。
本人の思いを尊重する、というのが一番なんだろうけど。ね。
category : 読む

COMMENT

Comment Form


秘密にする
 


Calendar

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

Categories

Recent Comments

Mail Form

名前:
メール:
件名:
本文:

In Blog Search

Archives

 

Copyright © Key Of Life All Rights Reserved.
テンプレート:サリイ (ブログ限定配布版 / 素材:ふわふわ。り)