風立ちぬ

2013.07.27 *Sat*
「この映画は、実在の人物、堀越二郎の半生を描く」

半ノンフィクションであるということで、ストーリーに起承転結の色は薄いし、ドラマティックな出来事もあまり起きません。
堀越二郎は当時としてはかなり裕福な家の出身で、飛行機作りの夢を親に反対されるということもなく、もちろん努力はしているけど、大学に入って飛行機の会社に入って順風満帆に夢をかなえていく。
ヒロインの里見菜穂子も裕福な家のお嬢様で、結核を患っているということ以外は不自由ない暮らし、シンデレラストーリーというわけでもない。
だからこそ、(創作である)ふたりの出会うシーンや再会するシーン、ふたりで時間を過ごすシーンの輝きが際立つのかなあ。

「Le vent se lève, il faut tenter de vivre」(風立ちぬ、いざ生きめやも)
ふたりが出会った関東大震災の日、暗号のようにこの一節を言い合った。
あのシーンだけで、架空の世界に飛ばされた気がしました。
そのすぐ後の震災の描写で、現実に引き戻されましたけども。
しかしほんとうに、劇中でも何度も言われていましたけど、二郎はいい男で、見た目はひ弱かもしれないけど頭が良くて冷静で仕事ができて優しくて。
個人的には理想の男性ですよ。
菜穂子が一瞬で心を奪われた気持ちがわかる。
再会のシーン、泉に「あなたが来てくれるように」とお祈りしていたというところ、なんともきれいだった。
ふたりで飛行機で遊ぶシーンも、きれいだったけど、ふたりのシーンで一番好きなのは、飛行機が完成してあとは飛ばすだけというところで、帰ってきた二郎が疲労と達成感で隣で眠ってしまい、菜穂子が自分の布団をかけてあげて、添い寝するシーン。
菜穂子の中ではもう時間がないと分かっていて、大好きな人が隣にいるという幸福感と同時に、もうお別れしなければいけないという悲しさが、切ない。
本当に、最初から最後まできれいな女性でしたよね、菜穂子は。

飛行機作りの夢を着々とかなえていく二郎は、その中でごく自然に、それが正しいか正しくないかなんて考える余地もなく戦闘機を設計する仕事につく。
当時、飛行機を作る=戦闘機を作ること。
ただ、夢にまっすぐに、忠実に、生きた二郎の人生は美しいけれど、だからと言って戦争を美化するものではないし、もちろん罪でもあると思う。
間違っていると言いたいわけではないし、正しいと言っているわけでもない、しかも先の大戦について扱っているというところがとても難しい映画だと思います。
決して子ども向けではない。
でも、「子どもはわからなくてもわからないものに出会うことが必要でそのうちにわかるようになるんだ」という考えがありこの映画を作ったそうです。(パンフレットより)
大人でも、わからないことはたくさんあるけれど、少しずつ反芻して噛み砕いていけたらと。

ここ最近で珍しく3本も映画館で映画を観ましたが、この映画が一番退屈だったけど、一番もう一度観たいなあと思います。
category : 観る

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