力を尽くして生きる

2013.09.01 *Sun*
「生きねば」

映画、風立ちぬのキャッチコピーであるこの言葉は「堪るかぎりの力を尽くして生きる」という意味だそうです。
最近、テレビといえばNHKばっかり観ているのですが、「プロフェッショナル」の宮崎駿監督の回を観ました。
風立ちぬの構想から完成までを記録したドキュメント。
関東大震災の描写、戦闘機の設計者を主人公にするという葛藤、命の期限が迫ったヒロインとの恋。
宮崎監督は「面倒くさい」と何度もつぶやきながらも机に向き合う。
「世の中の大事なことって、たいてい面倒くさい」
面倒くさいことから目をそらさないことが、「力を尽くして生きる」ということなんだろうと思います。
人は、生まれる時代や場所を選ぶことはできない。
そして、時代を作っているのは確実にひとりひとりの人なのに、誰も時代の流れを操作できない。
だから、「力を尽くして生きる」ということは、世の中の役に立つようなことをしなきゃいけないということでも、後世のために何かを残すというような壮大なことでもない。
とにかく、「目の前のことに一生懸命取り組む」という、ただそれだけなんだと、解釈しました。
それがどんな結果を生もうとも、のちのちどう評価されようとも、それを言い訳にしていてはいけないと。
堀越二郎さんが「美しい飛行機を作りたい」という夢を持ち、結果的に殺戮の道具である戦闘機を作ったということも、宮崎さんが人生をかけてアニメ映画を作り続けているということもすべて同じだと。
アニメ映画の監督ってどういう仕事なんだろうと、今まで何本も宮崎監督の作品を観てきても、イマイチ理解しきれていなかった部分がこの番組で少しは覗けた気がしました。
こんなにも、生命を削ってひとつひとつの作品を作り上げているんだと。


風立ちぬ公開前に放送された「仕事ハッケン伝」という番組もたまたま観たんですがこれも素晴らしかった。
オリエンタルラジオの中田敦彦さんがジブリに入社し風立ちぬの新聞広告用コピーを考えるという内容。
あっちゃんの前に立ちはだかるのは、スタジオジブリの敏腕プロデューサー、鈴木敏夫さん。
まさに中田敦彦vs鈴木敏夫といった感じ。
この真剣勝負がとにかく胸を打った。たまたま観ていただけなのに最終的に号泣しました。
何かを作るということ、そして誰かと一緒に仕事をするということは、こういうことかと。
最後、鈴木さんの中にある答えを削り出す、という方向性でコピーを考えようとするあっちゃんに、鈴木さんが出した答えはあっちゃんが考えたコピーから生まれた言葉でした。

中田「今回僕、最後は鈴木さんの中にあるものに近づこうとしたら、そうじゃなかった。鈴木さんが僕の中から見つけてくれた。」
鈴木「これは本当に考えていたこと。君が考えたことをテクニックでまとめることだけを自分はやろうと思っていた。」
中「でも、もし、僕が出したものの中に使えるものがなかったら…?」
鈴「あるんだよね。一個くらい。どんな人でも。それは自信がある。」
中「だって10出したら、10…違うってことがきっとある。そんな時に保険として鈴木さんが一個持っていて…」
鈴「あ、それは絶対にダメなの。もし最終的に俺が『君のやつはダメだ。自分で考えます。』ってなったらそれは俺の負けなんです。その人から引き出せないってことだから。だったら一緒にやる意味がない。」
中「…そんな負けが多かったですね。今まで。引き出せないことのほうが多かったです、僕は。」

大ベテランの人生の先輩に、仕事に対する考え方を根っこから覆された自分と同い年のインテリ芸人のすがたが、本当に自分のことのように胸に響き、涙が出ました。
本気の勝負っていうのは、本気の仕事っていうのは、いいですね。本当に。

今思うとこれこそが「堪る限りの力を尽くして生きる」なんだろうと。
いいもの観ました。
「風立ちぬ」も、もう一度映画館で観たくなりました。
category : 観る

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